急な訃報は、いつだって予期せぬタイミングでやってくるものです。
「喪服を持っていなかった!」「久しぶりに出したらサイズが合わない!」なんて焦ってはいませんか?
実は、お通夜や三回忌以降の法事であれば、手持ちの「地味な私服(平服)」で代用することがマナー上も許容されるケースがあります。
ただし、使う際には「平服=普段着」ではないという点に注意が必要です。
黒ければ何でも良いわけではなく、素材やデザインによっては遺族に対して失礼にあたることも。
この記事では、今すぐクローゼットから探し出せる代用アイデアと、絶対に避けるべきNGマナーを具体的に紹介します。
まずは結論から、どのレベルの私服なら許されるのかを見ていきましょう。
【結論】急なお通夜なら「地味な平服」で喪服の代用は可能
結論から言うと、お通夜への一般参列であれば、黒や濃紺、ダークグレーのビジネススーツやアンサンブルで代用が可能です。
これを礼服の区分では「略喪服(平服)」と呼びます。
しかし、告別式や親族としての参列では、原則として「準喪服(一般的なブラックフォーマル)」が必要です。
手持ちの服が使えるかどうか、以下の表でチェックしてみてください。
| 代用アイテム | おすすめ度 | 特徴・メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ダークスーツ(ビジネス) | ◎(推奨) | 黒、濃紺、ダークグレーの無地なら略喪服として十分通用する。 | 光沢のある素材やストライプ柄は避ける。ネクタイは黒必須。 |
| 黒のワンピース・アンサンブル | 〇(可) | 光沢のないマットな素材で、肌の露出が少なければ代用しやすい。 | スカート丈は膝が隠れるもの。リボンやフリルはNG。 |
| 黒のセットアップ(パンツ) | 〇(可) | 動きやすく、寒さ対策にもなる。略喪服として近年は定着。 | カジュアルな綿素材やジャージ素材は不可。きれいめ素材に限る。 |
| 黒カーディガン+スカート | △(微妙) | 学生や急な弔問なら許容範囲だが、式典ではカジュアルすぎる印象。 | ボタンが金銀でないこと。インナーも黒か白で襟付きが望ましい。 |
| ジーンズ・ジャージ・ニット | ×(不可) | 作業着や部屋着の延長とみなされ、マナー違反。 | 黒色であっても素材感がカジュアルなものは全てNG。 |
一番確実なのは、ビジネスで使うような「光沢のないダークカラーのスーツやセットアップ」です。
「取り急ぎ駆けつけました」という意味合いが強いお通夜であれば、完璧な喪服でなくても、地味な服装であれば失礼にはあたりません。
なぜ「喪服」の代用としてダークカラーの私服が許されるのか?
「喪服じゃないと怒られるのでは?」と不安になるかもしれませんが、実はお通夜において完璧な喪服を着ていくことは、昔のマナーでは「死を予期して準備していた」と捉えられ、かえって失礼とされることもありました。
現代ではお通夜でも喪服を着る人が増えましたが、本来は「地味な平服(略喪服)」で駆けつけるのが基本だったのです。
「略喪服」とは、喪服(ブラックフォーマル)ほど漆黒ではなく、ビジネススーツのような濃紺やグレーを含みます。
重要なのは「色」と「素材」です。
光沢がなく、殺生を連想させない(革や毛皮を使わない)、肌の露出を控えた服装であれば、哀悼の意を表す服装として認められます。
「喪服」を私服(平服)で代用する具体的なコーディネート術
では、実際に手持ちの服をどう組み合わせれば良いのか、男女別に具体的に見ていきましょう。
ポイントは「黒・無地・光沢なし」の3点です。
男性の場合:ビジネススーツをフル活用
男性の場合、普段仕事で使っているスーツがそのまま使えます。
ベストなのは「黒の無地」ですが、なければ「濃紺(ダークネイビー)」や「チャコールグレー」でも構いません。
- スーツ:無地推奨。目立たない織り柄なら許容範囲ですが、はっきりしたストライプは避けます。
- シャツ:白の無地ワイシャツ一択です。ボタンダウンはカジュアルなのでNG。レギュラーカラーを選びましょう。
- ネクタイ:ここだけは「黒」が必要です。コンビニや100均でも手に入るので、これだけは購入することをおすすめします。
- 靴・ベルト:金具が目立たない黒の革靴とベルト。爬虫類系の型押しは殺生を連想させるので厳禁です。
女性の場合:黒のアンサンブルやワンピース
女性は選択肢が多い分、迷いやすいですよね。
基本は「黒か濃紺のワンピース、またはスーツ」です。
- アウター:黒のジャケットやカーディガン。ボタンは黒か、目立たない色のもの。金ボタンはNGです。
- インナー:黒のブラウスやカットソー。夏場でも透け感のある素材や、胸元が大きく開いたものは避けます。
- ボトムス:膝が隠れる丈のスカートか、黒のパンツ。パンツスーツも略喪服として認められています。
- ストッキング:肌色は避け、黒の薄手(20〜30デニール)を選びましょう。厚手のタイツはカジュアルに見えるため、寒冷地以外では避けたほうが無難です。
喪服を私服で代用する際の致命的な注意点とNGアイテム
私服で代用する際、最も気をつけなければならないのが「小物」と「素材」です。
服が黒くても、ここを間違えると一発でマナー違反のレッテルを貼られてしまいます。
光り物はすべて外す
結婚指輪以外のアクセサリーは原則外します。
真珠(パール)のネックレスは涙を表すとして許容されますが、二連のネックレスは「不幸が重なる」とされるため絶対にNGです。
時計やベルトのバックルも、金色のギラギラしたものは外し、ポケットに入れるか目立たないものに変えましょう。
「殺生」を連想させる素材は避ける
仏教の葬儀では、殺生を禁じる教えから、動物の皮や毛皮を使ったアイテムは好まれません。
本革の靴やバッグは一般的になっていますが、スエードや型押し(クロコダイル柄など)、ファー素材は避けてください。
布製のバッグがあればベストですが、なければ装飾のないシンプルな革バッグで代用します。
ユニクロやGUは使える?
「ユニクロの黒い服でもいいの?」という疑問をよく聞きますが、結論としては「素材とデザイン次第でOK」です。
ユニクロの「感動ジャケット」やシンプルな黒ワンピースなどは、光沢がなく形もきれいなので、略喪服として十分に機能します。
ただし、綿のTシャツやデニム、ダウンジャケットなどは、いくら黒くてもカジュアルすぎるので控えましょう。
【体験談】虫食いの喪服に焦り、クローゼットをひっくり返した夜
あれは3年前の冬、急な訃報が届いた夜のことです。
「とりあえずお通夜に行かなきゃ」と、5年ぶりにクローゼットの奥から喪服を引っ張り出した僕を待っていたのは、無残な現実でした。
ジャケットの袖口に、ぽっかりと空いた虫食いの穴。
しかも、カビ臭いようなホコリっぽいような、鼻をつく古着特有の匂いが漂ってきます。
「うわ、これじゃ着られない…」
時刻は夜の7時過ぎ。今から礼服を買いに行く時間も、クリーニングに出す時間もありません。
背筋がスッと寒くなるのを感じました。
焦る気持ちでクローゼットをひっくり返し、見つけたのが仕事用のダークネイビーのスーツでした。
「黒じゃないけど、夜ならバレないか…?」
恐る恐る鏡の前で合わせてみると、室内灯の下ではほとんど黒に見えます。
白のワイシャツに、コンビニで走って買ってきた黒ネクタイを締めると、意外にもそれらしい姿になりました。
会場に着くまでは、「自分だけ浮いていたらどうしよう」と心臓がバクバクしていました。
焼香の列に並んでいるとき、前の人の背中が漆黒の礼服であるのを見て、自分のスーツが少し青みがかって見えることに気後れし、思わず身を縮めました。
しかし、周りを見渡すと、仕事帰りのサラリーマン風の方や、地味な私服で参列している方もちらほら。
「ああ、お通夜って、駆けつけることに意味があるんだな」と、張り詰めていた糸が少し緩んだのを覚えています。
結局、誰かに服装を指摘されることもなく、故人とのお別れに集中することができました。
ただ、革靴の金具が歩くたびに「カチャッ」と微かな音を立てるのだけは、静寂な斎場の中で冷や汗ものでした。
やはり、金具のないシンプルな靴を一足持っておくべきだったと、あの時の音と共に教訓として刻まれています。
今回は私服での代用方法をお伝えしましたが、やはり一着きちんとした喪服(ブラックフォーマル)を持っていると、いざという時の安心感が違います。
最近はネットでレンタルできるサービスや、即日発送の礼服通販も充実しています。
「洋服の青山」や「AOKI」などのオンラインショップなら、サイズ展開も豊富で、品質の確かな喪服が手に入ります。
一度チェックしておくと、将来の安心材料になるかもしれません。
喪服を私服で代用する際のよくある質問
Q. 学生の子供は制服でいいのですか?
はい、制服が正式な礼服となります。
もし制服がない場合は、白シャツに黒や紺のズボン・スカート、あればブレザーやベストを合わせれば問題ありません。
靴はローファーやスニーカーでも、派手な色でなければ大丈夫です。
Q. インナーにヒートテックを着てもいいですか?
冬場の葬儀場は冷えることが多いので、インナーでの防寒は必須です。
ただし、襟元や袖口から見えないように注意しましょう。
黒のタートルネックをジャケットの下に着るのは、略喪服としても少しカジュアルすぎるので、見えないVネックなどが無難です。
Q. 髪型やメイクはどうすればいいですか?
髪は耳より低い位置で一つにまとめ、黒いゴムやバレッタを使います。
メイクは「片化粧」といって、口紅の色を抑え、チークやラメを使わないナチュラルメイクが基本です。
ノーメイクは失礼にあたるので、薄化粧を心がけましょう。
喪服の代用まとめ
喪服がない時でも、以下のポイントを押さえれば私服(平服)での代用は可能です。
- お通夜ならダークスーツや地味なワンピースでOK(略喪服)。
- 光沢のない「黒・紺・グレー」の無地素材を選ぶ。
- 肌の露出を控え、派手な金具や殺生を連想させる小物は避ける。
大切なのは、故人を偲ぶ気持ちと、遺族への配慮です。
服装の形式にとらわれすぎて参列を躊躇するよりは、節度ある服装で駆けつけ、お別れをすることの方がきっと大切でしょう。
もし、靴やバッグ、数珠など他の小物もなくて困っている場合は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

