「あっ!」
お気に入りのニットやスーツに何かが引っかかり、ぴょこんと飛び出した一本の糸。
見つけた瞬間のあの絶望感、何度味わっても慣れませんよね。
「ほつれ補修針」があれば一発で直せるのは知っているけれど、手元にはないし、わざわざ買いに行く時間もない。
ハサミで切ってしまおうか……いや、それは穴が開くから絶対ダメ!
実は、どこの家庭にもある「普通の縫い針」と「糸」さえあれば、専用針がなくても驚くほどキレイに直せるんです。
この記事では、緊急時に役立つ代用テクニックと、失敗しないためのコツを紹介します。
まずは結論から、最強の代用方法を見ていきましょう。
【結論】ほつれ補修針の代用は「普通の縫い針」と「糸」の組み合わせが最強
結論から言うと、最も確実で仕上がりが美しい代用方法は「普通の縫い針に糸を通して輪っかを作る」ことです。
この「輪っか」にほつれた糸を引っ掛けて、裏側に引き込むだけで元通りになります。
他にも使える代用品を、手軽さや対応できる生地の観点から比較表にまとめました。
| 代用品名 | おすすめ度 | 特徴・メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 縫い針+糸 | ◎(推奨) | どんな家庭にもある。生地を傷めにくい。 | 針の太さを生地に合わせる必要あり。 |
| 糸通し(スレダー) | ◎(推奨) | 針穴に通す要領でほつれをキャッチできる。 | 強く引くとワイヤーが切れる恐れあり。 |
| 極細のかぎ針(レース針) | 〇(可) | 太めの毛糸やニットに最適。引っ掛けるだけ。 | 細かい目の生地には太すぎて穴が開く。 |
| 爪楊枝・竹串 | △(微妙) | 裏側に押し込む応急処置。道具がない時に。 | 根本的な解決にならず、また出てきやすい。 |
繊細な生地なら縫い針+糸、少し太めのニットならかぎ針がおすすめです。
なぜほつれ補修針の代用に「輪っか状の仕掛け」が良いのか?
本家の「ほつれ補修針」は、針の表面がヤスリのようにザラザラしていて、そこに糸を絡ませて裏側に引き抜く仕組みですよね。
代用でこれを再現するのは難しいですが、原理としては「飛び出した糸をキャッチして、生地の裏側に連れて行く」ことができれば良いわけです。
そこで活躍するのが、針と糸で作る「輪っか(ループ)」です。
この輪っかが投げ縄のように飛び出したほつれ糸を捕まえ、針が先導して狭い生地の織り目を通り抜けることで、スムーズに裏側へ引き込むことができます。
無理に押し込むのではなく、「引き込む」動作ができるため、生地へのダメージも最小限で済みます。
ほつれ補修針を身近なモノで代用する具体的な方法
1. 縫い針と糸を使う方法(最強)
最も推奨する方法です。
- 普通の縫い針に、手持ちの糸(木綿糸などでOK)を通し、玉結びはせずに輪っかの状態にします。
- ほつれている糸のすぐ根元(飛び出している場所)に、針を刺します(まだ貫通させきらない)。
- 針穴に通した糸の輪っかの中に、ほつれて飛び出した糸を通します。
- そのまま針を裏側へスッと引き抜きます。
すると、輪っかに引っ張られて、ほつれ糸も一緒に裏側へ移動します。
「スルッ」と消える瞬間は、魔法みたいで快感ですよ!
2. 糸通し(スレダー)を使う方法
裁縫セットに入っている、銀色のアルミ板に細い菱形のワイヤーがついたアレです。
これをそのまま補修針として使います。
ほつれの根元にワイヤー部分を差し込み、その菱形の中にほつれ糸を入れ、裏側へ引き抜くだけ。
ただし、デニムなどの硬い生地だとワイヤーが負けて壊れることがあるので、ニットや柔らかい布限定で使いましょう。
力任せにやると「プチッ」とワイヤーが取れて、悲しいことになります(経験者談)。
3. 細いかぎ針(レース針)を使う方法
ローゲージのニットやセーターなど、編み目が粗いものに有効です。
裏側からかぎ針を刺し、表に出ているほつれ糸をフックに引っ掛けて、そのまま裏へ引き戻します。
スーツやシルクなどの細かい生地にやると、かぎ針の太さで穴を広げてしまうので絶対NGです。
ほつれを代用品で直す際の注意点とNG行為
ハサミで切るのは絶対ダメ!
飛び出した糸が邪魔だからといって、根元から切ってしまうのは一番やってはいけないことです。
その糸は生地を構成している一部なので、切るとそこから穴が広がり、修復不可能になります。
「ちょっとだけなら……」という誘惑に負けないでくださいね。
針の太さに注意する
代用する針が太すぎると、針穴が目立ってしまいます。
特にスーツやブラウスなどの繊細な生地の場合は、できるだけ細い針を選びましょう。
逆に、太い毛糸のニットに極細の針を使うと、針が折れたり糸が通らなかったりするので、生地に合わせたサイズ選びが大切です。
【体験談】おろしたてのニットを電車の座席に引っ掛けた朝の絶望と奇跡
あれは、念願だったブランドのモヘアニットを初めて着て出勤した日のことでした。
満員電車で座席に座り、目的駅に着いて立ち上がろうとしたその時。
背中に軽い違和感があり、振り返ると座席の金具にニットが……。
「ビヨーン」
恐る恐る確認すると、背中の真ん中あたりから、無残にも5センチほどのループ状の糸が飛び出していました。
「終わった……」
新品なのに。しかも背中なんて一番目立つ場所。
会社に着いてからも仕事が手につかず、トイレの鏡で何度も確認しては溜め息をついていました。
昼休み、ダメ元でコンビニのソーイングセットを購入。
中に入っていたのはごく普通の針と糸だけ。
「これでなんとかするしかない」
ネットで見た「輪っか作戦」を震える手で試してみました。
針を刺し、輪っかにほつれ糸を通し、裏からゆっくり引く。
心臓がバクバクしましたが、次の瞬間。
「えっ、消えた?」
あんなに主張していたほつれ糸が、嘘のように裏側へ吸い込まれ、表面は何事もなかったかのように元通りに。
モヘアの毛足が幸いして、針を刺した跡も全く分かりません。
あの時の「救われた……!」という安堵感と、自分の手で直せた達成感は忘れられません。
それ以来、化粧ポーチには必ず針と糸を忍ばせています。
備えあれば憂いなし、ですね。
ほつれ補修針の代用に関するよくある質問
Q. 100均にほつれ補修針は売っていますか?
はい、ダイソーやセリアなどの手芸コーナーで販売されています。「補修針」という名前で見つからない場合は、「手芸用かんし」や「ビーズ針」の近くを探してみてください。
Q. 裏側に引き込んだ糸はどうすればいいですか?
基本的にはそのままでOKですが、再び出てくるのが心配な場合は、裏側で結び目を作ったり、布用接着剤を少量つけて固定したりすると安心です。ただし、接着剤が表に染み出さないよう注意してください。
Q. 針がない場合、爪楊枝でも代用できますか?
裏側から爪楊枝でつついて戻すことは可能ですが、あくまで一時的な処置です。繊維を押し込むだけなので、動くとまた出てきてしまうことが多いですね。帰宅後に針と糸でしっかり直すことをおすすめします。
ほつれ補修針代用のまとめ
ほつれ補修針がなくても、諦める必要はありません。
- 縫い針+糸:最も確実でキレイに仕上がる最強の代用。
- 糸通し:手軽だけど強度が心配。柔らかい生地向け。
- かぎ針:ざっくりニットならこれで十分。
大切な衣類を長く着るためにも、まずは家にある道具で「裏側に引き込む」ケアを試してみてください。
焦って切ってしまうのだけは、絶対にNGですよ!
衣類の修繕やお手入れについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

