過敏性大腸症候群と自己臭恐怖の体験 / K.Gさん(会社員)

 私の悩みが始まったのは、短大を卒業してから続けていた公務員のバイトをやめ、一般の会社に正式に就職してからでした。職場は公務員の現場と違い、とても厳しいところで、私は極度の緊張でいてもたってもいられなくなりました。はじめは過敏性大腸症候群だったと思います。おならが出て、ただただ恥ずかしく、医者に行くとレントゲンをとり、胃のほうに影があると言われて、ストレスも極限にきていたので仕事をやめることにしました。

 しかし、仕事をやめ、ストレスがなくなってくると、身体も治ってきて普通になりました。それで次の就職先を捜し、働き始めると、またおなかの調子が悪くなるのです。精神的なものだということがなんとなくわかっていたので、親に付き添ってもらって精神科に行き、安定剤をもらいました。薬が私に合っていたのか、すぐに症状がなくなったのです。 それから約半年、そこに勤めました。けれどその職種は親の気に入らないものだったらしく、今の職場を親が見つけてきて転職しました。このように、私はすべて親にまかせて、主体性のない生き方をしてきました。依存性が強いと言われてもしかたのないことです。

 新しいところで、また予期不安が起こりすぐに症状がでました。薬で治るかと思いましたが、今回はダメでした。2年目くらいからは、年中通しておならが出ました。最悪の状態でした。たくさんおならをするので部屋のなかが臭くなり、消臭スプレーをまかれたことも何度もありました。今でも時々、症状にとらわれると、消臭スプレーをまかれます。そういう時は自分でも何度もトイレに行ったり、仕事に身が入りません。

 そのうえ、職場だけで出ていたおならが、ほかでも出るようになりました。人と対面すると出るのです。例えば1対1になるレジ、必ず一人に一人はつく美容院、そして人がいるところはどこでもダメになりました。バス、映画館、一番いやだったのが食事をするところでした。おならをして、食事をしている人たちにいやな思いをさせてはいけないと考えるのです。ところが、考えれば考えるほどおならは出ました。ずっと精神科には通っていましたが、全くよくなりませんでした。

自律訓練法をやってみました。やっているときはゆったりするのですが、いざという時は全く役に立ちませんでした。宗教に入ろうとしたり、また漢方薬も試してみましたが、すべて効きませんでした。どうしたら普通の体に戻れるだろうと、毎日泣きながら過ごしていました。ただ、仕事には行くようにと親に強く言われていたので、苦しみながら行っていました。

ある日、新聞で森田療法のことを知りました。直感的にこれなら治るのではないかと思いました。わらをもつかむ思いで、病院の先生に「森田療法をやっているところを紹介してほしい。入院するしか治る道はない」と訴えました。すると先生が「生活の発見」誌を見せてくれ、「入院しなくても森田を勉強する道はある」と、連絡先を教えてくれたのでした。

早速発見会に入会し、集談会に出席しました。森田理論を勉強し、長く出席している幹事さんたちに温かい言葉をかけていただいて、私はだいぶ良くなりました。しかも薬で良くなったときと違って、今度は治った根拠があるのです。私は長年の自分の症状から、自分がおならのことを考えていないときは、おならが出ないことを知っていたのです。でも、森田理論を勉強して、どうしてそうなるかを知りました。森田理論は、今まで疑問だった「どうして症状を考えると体がいうことを聞かなくなるか」「考えれば考えるほど症状が固定するのか」「ほかのことに目を向けていれば、どうして症状が出ないのか」などの疑問を解決してくれました。
 自分がおかしいのではなく、人間というものはそういうふうにできている、ということを学びました。自分がおかしいわけではなかったのです。そして症状がずっと続くわけではないということを知り、気が楽になりました。

 現在は、昔ほど症状は気になりませんが、いつも心のどこかにある状態です。ただ、黙々と仕事をしているとき、雑談に花を咲かせているときは忘れていることもあり、忘れている自分に気づいて「あ、今症状のことを全然気にしていなかったな」と、感動したりします。逆に苦しいときもあります。そのときは、ただ黙って症状のまま仕事をしています。それしかできないからです。
おならのことが気になっているときは、やはりとてもつらいものです。しかし症状が気にならない時間がすこしずつ長くなっているような気がしています。

 たくさん一生懸命になれることを作ることも、よくなる手段のひとつだと思います。すこしずつ手を出すことによって集中する、ということもわかってきました。いやな仕事も、やっていればいつかは終わるのです。

症状にとらわれそうになったら、今やっている仕事をいったんやめ、別の仕事をすることもあります。これは、しつこくものを考える傾向のある神経質にとっては、いい手段だと思います。気分を変えることによって、考えていることも変わるという感じです。また、自分だけでなく、まわりの人も気持よく働けるように、気のついたことはすぐやるようにしています。自分のいやなことは他人もいやだと思うので、トイレ掃除や生ゴミ出しなども積極的にやるようにしています。また主たる仕事のほうも、ミスをしながらでもやり遂げるようにしています。私のちょっとした工夫と気配りで上司が笑って「ありがとう」と言ってくれた時は、とてもうれしいものです。

 現在、私はボランティア活動をしています。森田理論の最終目標は社会への貢献ということだと思いますが、まだ症状のある自分がボランティアをすることは、おかしなことかもしれませんが、やっているうちに気づくことがたくさんあります。

とにかく、人の役に立つことは、自分が人のために役に立っているという自分の喜びなのです。

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