不安神経症の克服 / M.K さん(主婦)

 私は、結婚して子どもが生まれ、社宅の近所づきあいをわずらわしいと思いながらもなんとかやりくりして付き合っていました。その後、一戸建てに移ってから、子どもの学校の役員になり、人の思惑を気にしながらこなしていました。
そうしたなか、夫がもうすぐ海外出張になり、半年は帰れないという状況になりました。学校の役員になってからは、いろいろな問題が起こるたびに夫に相談しては解決してもらい、頼りきっていましたので、とても不安でした。

 近所にも心を開いて相談する友人はなく、まだまだ行事が残っている役員の仕事のことを考えると、心はズシリと重く、不安はますます大きくなりましたが、役員を途中でやめるのは、私のプライドが許さないのです。

 先々の取り越し苦労をしては、一日中考え込む日が多くなり、いつも頭が重く、膜が張ったようで心身ともに疲れていきました。
そして夫が出張してしまい、役員の任期もあと2ヶ月となった1月の寒い夕方、突然、胸の張り裂けるような、なんともいいようのない不安感に襲われ、息苦しく吐き気がして、いてもたってもいられないような気分になり、寒いのに窓を開け放し、家のなかを駆け回りました。
「私はいったいどうなったのか?」
この得体の知れない不安、ざわざわと騒ぎ立てる心。真っ暗闇に突き落とされたようで、心のなかで「助けて!」と叫んでいました。
その夜、なかなか寝付けず、朝方少し眠って目を覚ますと、全身汗びっしょりで、頭は石が詰まったように重く、吐き気、寒気、疲労感で起き上がることができません。しばらくしてふらふらとしながら、田舎の母に電話をし、翌日近くの内科に連れていってもらいました。

 「頭がおかしくなったのでしょうか」と尋ねる私に先生は、「そう思う人はおかしくなりません。少し疲れているだけでしょう」と言われました。薬を飲みましたが、何日たっても同じなので、他のお医者さまにいき、精密検査をしてもらいましたが、結果は異常なしでした。
 しかし、体はふらふらで疲労感が強く、体重も10キロ以上減ってしまいました。眠るという無意識状態がおそろしく、部屋の壁が自分に向かって押し寄せてくるようで、トイレやお風呂にいくこともこわくなり、母に私のそばにいてもらわないと、不安で不安でしかたありませんでした。そして、私は、出張先まで国際電話をかけ、夫を呼び戻してしまったのです。帰宅した夫に「こんなにつらいんだ」と訴えつづけていました。

 幸い夫の出張先に生活の発見会の会員のかたがいて、そのご縁で、発見会の協力医の故河野基樹先生に診察してもらうことができました。先生からは「不安神経症」と言われ、「通院しながら普通に生活してください。ご家族のためにつくしてください」と言われました。
けれど娘のために早く起きてお弁当を作ることは、とても苦しく、作ったり作らなかったりで、夫が出かけたあとは、ふとんにもぐりこんで昼すぎまで寝ては、「自分はこれからどうなるのだろう」とぼんやり考えていました。そして不安感が出ると、田舎の母に電話をかけて訴えていました。

やがて河野先生に勧められて発見会の集談会に出席しました。皆が元気そうに見えて、私が一番重い症状だと思いました。そして、「神経質の性格特徴」に自分があまりにもぴったりなので驚きました。そして、まず朝早く起き、お弁当と朝食作りをするところから始めました。
朝起きることは、たいへん辛く苦しかったのですが、その辛い気持のまま起き上がり、重い体を引きずるようにして台所に立ちます。気分が悪く、吐き気がして、やろうとする気持とやりたくない気持の葛藤で床にうずくまってしまい、しばらくして気力で立ち上がり、台所の流しに寄りかかりながら、なんとかお弁当作り、朝食の用意、後片付けと続けますが、夫と娘が出かけたあとは、また寝てしまいます。

 こんな状態の繰り返しが長く続きましたが、「治りたい。負けたくない。きっと立ち直ってみせる」と思い、必死で耐えつづけました。これ以上できないと、何度思ったことでしょう。
集談会の先輩の「ゆきつ戻りつを繰り返しながら、薄紙をはぐようによくなっていくのです」「暗いトンネルの向こうから、きっと明るい光が見えてきますよ」という励ましを受け、また同じ集談会の人たちの実践している姿に勇気づけられました。

 出席するようになって1年、あれほど苦しかった症状も軽くなっていました。そしていやいやながら行動していると、はずみがついて次々と手を出している自分に気がつきました。

 今までは大ざっぱだった家事を、ていねいにやっていきました。たとえば洗濯のときも子どもの運動着や靴下など、汚れのひどい部分は先に手洗いし、洗濯機のなかには汚れの少ないものから順番に入れて洗い、干すときもしわを伸ばし、形を整えて、厚地のものは日の当たる場所へ、色あせするものは日陰にと干していきました。タンスのなかも、よく着るもの、着ないものと区別し、すぐに取り出しやすいように区別しました。
そうしてひとつひとつ逃げずに家事をこなしているうち、不安症状を客観視できるようになり、感情はそのままにしておけば流れてゆくということも体験でわかりました。不安症状があっても邪魔にならなくなりました。

 落ち込むことも多々あります。不安症状が出ても、その不安を手がかりに現実的な、不安の原因になっていることに対処することができそうです。人によく思われたい欲求が強い自分でもあり、理想像に押しつぶされそうな自分でもありますが、だからこそ、これからも森田理論から学ぶことが多いようです。

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